財産分与について
財産分与とは、
夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産を、離婚に際して分け合うことをいいます。
| 離婚協議において財産分与の話合いをする際のポイント ①財産分与の対象となる財産は、婚姻期間中に夫婦が協力して得た財産である。 ②他方配偶者が給与明細や自分名義の預貯金等の財産を開示しないことがあるので、 話合いの前に調査が必要。 ③専業主婦であっても、財産分与の割合は2分の1が基本である(2分の1ルール)。 ④有責配偶者であっても、財産分与を受けることはできる。 |
離婚に伴う財産分与は、次のような性格を持っています。
1)夫婦財産の清算としての性格(清算的財産分与)
清算的財産分与については、夫婦が婚姻期間中に協力してできた財産をどのように分けるのか(誰がどの財産をもらうのか又は金銭であればどのような割合で分け合うのか)が問題となります。
2)離婚後の扶養としての性格(扶養的財産分与)
離婚後もすぐには働けないなどの理由で、生活面で過酷な状況が予想できる場合、
離婚後の生計の維持を目的として設定する財産分与です。
離婚後数年間に渡って生活費を支払うことや夫の名義の不動産に対して使用貸借権(無償で貸し出すこと)を設定したりします。
当事務所でも、ご本人の事情とご主人との関係を考えて、
離婚後、数年間に渡る生活費を援助してもらえるように話するようアドバイスしたり、
その旨を離婚協議書に記載することはよくあります。
3)精神的苦痛に対する慰謝料としての性格(慰謝料的財産分与)
財産分与に慰謝料的性格を含めるものです。
しかし、実務としては財産分与に含めることもできるのですが、
財産分与とは別に慰謝料を請求される方が良いでしょう。
扶養的財産分与や慰謝料的財産分与については、
金銭の支払いにより経済的利益を与えることで目的を達成させることができます。
したがって、ここでは、夫婦が婚姻期間中形成してきた財産を、
どのようにして分け合うべきなのかを見ていきたいと思います。
| ★どのような財産が分与の対象となるのか? |
では、どのような財産が財産分与の対象になるのかですが、原則としては、
夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産(共有財産)です。
不動産等、例え夫のみの名義となっている財産であっても、
婚姻期間中に夫婦が協力して購入した財産は、財産分与の対象となります。
よって、夫婦の一方が結婚前から有していた財産や生前贈与や
相続によって単独名義で取得した財産(特有財産)は、
財産分与の対象とはなりません(民法762条1項)。
また、夫婦のいずれかに属するのか明らかでない財産(準共有財産)は、
夫婦の共有財産と推定されて財産分与の対象となります(民法762条2項)。
| 財産分与の対象となる財産、ならない財産 ①共有財産 夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産 → 財産分与の対象 ②準共有財産 夫婦のいずれに属するのか明らかでない財産 → 財産分与の対象 ③特有財産 夫婦の一方が結婚前から有していた財産や贈与や相続により得た財産 → 財産分与の対象外 |
分与の対象となる財産の種類としては、預貯金、不動産、生命保険、株券などの有価証券、離婚後の退職金、動産(家電製品、家財道具、自動車など)があります。
[不動産]
婚姻期間中に購入した不動産は、夫婦の一方のみの名義になっていたとしても、
夫婦共有の財産となり財産分与の対象です。
土地建物の登記簿謄本をお近くの法務局から取り寄せて、名義を確認してください。
さらに大事なことは、その不動産にローンが残っている場合です。
ローンが残っていれば、必ず、借入金融機関が不動産に抵当権を設定しています。
その抵当権の債務者が誰なのか、連帯保証人はだれであるのかを確認してください。
連帯保証人となっている場合は、離婚後相手が支払いを続けられなくなった場合には、
金融機関から支払いを求められます。
この辺の事情も考え、金融機関とも協議して、
どのように所有不動産の処分を行うのかを考えなくてはなりません。
[生命保険]
満期の生命保険は、財産分与の対象になります。
また、満期になっていなくても、離婚時点での解約返戻金が財産分割の対象となります。
この場合には保険会社に金額を見積もってもらえばよく解約する必要はありません。
掛け捨て型の生命保険は、財産分与の対象となりません。
[退職金]
既に支給されている場合はもちろんのこと、
近い将来支給される予定の退職金も財産分与の対象とする裁判例が多くあります。
但し、財産分与の対象とされるのは、婚姻期間中に該当する部分のみです。
[医師や弁護士などの資格]
夫が妻の援助によって医師や弁護士資格を取得した場合、
無形の財産と評価し、財産分与の対象となる場合があります。
[負債]
不動産のローンや夫婦が共同生活をする上で必要な借金は財産分与の対象となります。
但し、夫婦の一方が個人的理由(ギャンブル等)で生じた借金は財産分与の対象となりません。
[過去の婚姻費用を請求できるか?]
財産分与において、過去未払いとなっている婚姻費用の清算を行うことができます。
離婚前に別居していて生活費を夫からもらっていない場合、妻が過当に負担した婚姻費用の清算として財産分与に含めることができます(最判昭53.11.14)。
| ★財産分与の額や割合の基準は? |
財産分与の割合については、法律上、特に決まっているわけではありません。
まずは、当事者間の協議で取決め、協議が調わない場合は、家庭裁判所に申立てをして、
協議に代わる処分を請求することができます(民法768条2項)。
その際には、
「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、
分与させるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める(民法768条3項)」
と規定しているだけです。
実際に、家庭裁判所が財産分与の判断をする際には、
夫婦財産形成や維持に関する夫婦双方の寄与度(貢献度)を算定して決めています。
よって、協議離婚において財産分与の額やその方法を取り決める際は、
まず分与の対象となる財産を特定し、金銭以外の財産については、
その価額を決めたうえで、分与の具体的な割合や分与の方法を
夫婦の話合いにより決めることになります。
[専業主婦に対する分与の割合]
よく財産分与の話合いの中で問題となるのは、
専業主婦で婚姻期間中は家事労働に従事してお仕事をしていなかった場合です。
専業主婦であっても、家事労働に従事して家庭を支え、
そのおかげで夫は安心して外で働くことができるのであって、
妻も夫婦財産の形成に寄与しているわけですから、
財産分与を受けられるのは当然のことです。
しかし、夫からすると、離婚となれば、
「自分が働いてきた給料で形成された財産なのだから、自分が多く貰って当然!」
という考えを持つ方が非常に多くいらっしゃいます。
確かに以前は、財産分与の審判や裁判で、
専業主婦の財産の形成に対する貢献度を3割~4割と算定するケースが多くありました。
しかし、最近では、専業主婦の場合であっても、特段の事情がない限りは、
夫婦財産形成に対する貢献度は等しいとする2分の1ルールが提唱されているようです。
よって、協議離婚の場合でも、財産分与の割合としては、
2分の1が基本と考えてを請求すべきでしょう。
上記のように、専業主婦も含めて、財産分与の基本は2分の1となります。
しかし、自営業をされているケースで、家事の他に家業も手伝って財産形成に大きく貢献している場合は、2分の1以上の割合で財産分与の請求も可能です。
ただ、協議離婚の場合は、夫婦双方の話合いで決まるものですので、
2分の1の財産分与を基準として、財産形成・維持に関してご夫婦の貢献度を考慮して
妥協点を見つけ折り合いをつけることが必要となります。
その為に、
①夫婦共有財産リスト②財産に関する資料(固定資産評価証明書、給与明細、株券など)③財産形成に関する経緯等の資料の作成及び収集はしっかりとしておきましょう。





離婚の悩みは人それぞれ異な