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離婚協議における養育費の取決めについて

協議離婚における養育費の取決め内容は?養育費の金額を算定するには?
養育費は、後から変更が可能か?「育費を請求しない」という合意は有効か?

 

養育費とは未成熟子
独立自活できるまでの間に必要とされる費用のことをいいます。
養育費は、子供を監護している親(監護者)から
監護していない親(非監護者)へ請求できるものですが、
離婚しても、親であることには変わりありませんので、
非監護者は当然に養育費の支払い義務があります。
未成熟子とは、親の監護なしでは生活を保持できない子供のことを指しています。
 
 
未成熟子の判断基準としては、成人しているかどうかではなく、
自分の力で仕事をして経済的自立しているかどうかがポイントとなります。
よって、未成年とは必ずしも一致しません。
 

離婚協議における養育費の取決めをする際のポイント
①養育費は子供の健全な発育のために非監護権者から監護権者へ支払われるべき費用。
②養育費の取決めは、子供の将来の養育方針や進学のこと等をよく夫婦間で話し合う。
③養育費の金額の基準に「養育費算定表」があるが、算定表にとらわれないように。

④「今後一切、養育費を請求しない」との合意は、あまり意味を持たない。
⑤養育費の変更は、取決め時から予測し得なかった事情の変更がある場合は可能。

 
[養育費の内容]

養育費の内容としては、衣食住の費用医療費等生存に必要な費用が含まれることは
当然として、学校等の教育費>娯楽費等も含まれます。
教育費の中には、進学のための予備校の費用や塾の費用、家庭教師代、受験料、
学校等の授業料、教材費、クラブ活動費などが含まれるとされています。
 
 
[養育費の支払い期間]

また、養育費支払いの期間は、20歳までとされる例が多いのですが、
両親の学歴や生活レベルなどから、子供に大学等の高等教育機関を受けさせることが
親の生活水準と同等の生活水準を維持させるために必要といえる場合には、
子が大学を卒業するまでは未成熟子とされ、
20歳以降に必要な授業料なども教育費として請求することも可能です。
 
 
収入の少ない母親にとっては、養育費が子供を健全に育てていくための生命線です。
よって、離婚協議では、養育費の金額支払いの期間といった基本的な内容だけでなく、
私学や大学への進学時の学費負担割合その他将来起こり得ることに対しての取決め
しっかりと行っておかなければなりません。
 
 
[養育費の負担義務の範囲・程度]

養育費の負担義務は、負担義務者が経済的に余力がある場合にのみ支払えばよいという
生活扶助義務に基づいて支払われる費用ではありません。
 
 
親には、離婚して手元で子供を監護養育をしていなくても、
扶養する義務は当然にありますので、負担義務者の余力に関わらず、
未成熟子が、負担者と同等の生活水準を維持するために必要な費用
の負担する義務を負います。
 
 
養育費は、負担義務者の余力の有無に関わらず、
収入等の資力に応じて相当額を支払う義務
という
生活保持義務に基づいて支払われる費用なのです。
生活保持義務は、自分の生活レベルを下げてでも、子供に対して自分と同じ水準の生活を
させなければならない義務
とされています。
 
 
よって、「子供と一緒に暮らせないし、もう会わないから、養育費を支払わない。
といった主張は、論外であって、そのようなことに関係なく養育費を堂々と請求することができます。
 
 
また、離婚時に「今後一切、養育費の請求をしない。
といった取決めをされる方がいますが、このような取決めをされていても、
養育費は子供のために支払われるべき費用ですから、
事情によっては、後から請求することができます。
 
 

どのような論理で請求できるのかは、こちら↓のページをご覧ください。
養育費不請求の合意の効力について

 

★離婚協議における養育費の取決め内容は?

 
離婚協議において、養育費についての取決め事項は次のような内容があります。

①金額について
 
毎月の支払金額ボーナス時の支払金額私学や大学への進学など過分に費用がかかる場合の費用分担割合などの取決めを行います。
高校入学時、大学入学時を基準に、毎月の支払額を増加させる契約も可能です。
算定の方法については、次の「養育費の金額を算定するには?」をご覧ください。
 
 
②支払い期間について
 
20歳までとする例が多いですが、高校卒業時まで22歳の誕生日まで
大学卒業時まで(この場合は留年しても大学の卒業まで支払いが続きます)
と協議で自由に取り決めることができます。
 
 
高等教育機関の進学時や養育費では賄いきれない程の出費がある場合に、
協議して解決する旨の内容を記載しておくこともできます。
 
 
③支払い方法について
 
どのような方法(現金・口座振込など)により支払うか取決めます。
口座振込の場合には、振込先金融機関・支店名・口座番号・名義人も確認し、
離婚協議書に記載しておくとよいでしょう。
振込先口座は、子供名義の口座でもかまいません。
子供口座の名義にしておくことで、
負担者がお子様のために使われる費用であることを認識し、
未払いの抑止効果があります。
 
 
④支払いが滞ったときの対策
 
公正証書にしておくことで、未払いが発生した場合に相手の給料や財産を差押えて、
強制的に養育費を徴収することができますが、手間と時間と費用がかかります。
強制執行は、あくまでも最終手段であって、
なるべく行使しなくて済む方が良いに違いありません。
そこで、強制執行する前に公正証書に次のような対策を記載しておくことで、
未払いの抑止力を高めることができます。
 
 
遅延損害金の定めをしておく。
 遅延損害金は、支払いが滞った際に、その滞った分に対してかかる利息です。
 
連帯保証人を定めておく。
 連帯保証人は、養育費の義務者と同等の支払義務を負う保証人です。
 もし、支払義務者が、養育費を支払わなかった場合には、
 即座に連帯保証人に養育費の支払いを請求することができます。
 また、公正証書にしておくことで、連帯保証人の財産に対しても、
 強制執行をすることが可能です

 
 
ただ、当然、連帯保証人の同意は必要となりますので、
条件が揃わないとなかなか連帯保証人になってもらうことは難しいかもしれません。

当事務所にご相談頂ければ、個々の事情に合わせたご提案をさせて頂きます。

★養育費の金額を算定するには?

 
養育費の金額は、まずは父母の協議により決めることが原則ですが、
基準や根拠がなければ、双方の主張の隔たりを埋めることが難しく
合意できないことも考えられます。

まず、最もよく基準として利用されているのが養育費算定表を基準に決めるやり方です。
 
 
[養育費算定表を参考にした取決め]

養育費算定表とは、家庭裁判所で養育費を取り決める際に利用されている算定方式を
養育費を支払う義務のある者(義務者)と支払いを受ける者(権利者)の年収と子供の年齢及び人数から、
相当な養育費の額が一目でわかるようにした表のことをいいます。
 
 
家庭裁判所では、
最終的な養育費の額は各事案の個別事情を考慮したうえで定めるとしながらも、
よほど特段の事情がない限りは、この算定表の額の幅の間に収まることが多いようです。
 
 
つまりは、協議で調わない場合は、
家庭裁判所の調停や審判により養育費の額は決めることができるのですが、
家庭裁判所では、この算定表を基に養育費を算定しますので、
協議の段階から、この算定表の額を参考にした金額で取決めようとするものです。
 

養育費算定表については、下記のページをご覧ください。

養育費算定表

 
しかし、算定表の金額は、個別の事情は勘案されていません
算定表により取り決めた場合には、養育費の支払い期間の終期までずっと同じ金額を
支払い続けるという内容になっているケースが多いように思います。
 
 
はたして、その金額で、
本当にお子様に十分な教育を受けさせてあげることができるのか疑問が残るところです。
 
 
よって、養育費算定表の金額を一つの参考にしながらも、
お子様の教育費等も含めた今後の生活設計をしっかりと立てて養育費の算定を行い、
お子様の将来の養育方針や教育のことを夫婦間でよく話し合ったうえで、
養育費の金額を決められることをお勧めします

 
 

当事務所では、離婚後のライフプランの作成も行っております。
お子様の教育費等、離婚後、どのような費用が必要となるのかは下記をご覧ください。

離婚後の生活設計について

 

★養育費の金額は、後から変更が可能か?

 
離婚の際に養育費の金額を合意していたとしても、離婚後に合意がなされた当時予測し得なかった事情の変更が生じ、当初取り決めた養育費の金額では実情に合わなくなった場合には、養育費額を変更することができます。

このことを事情変更の原則といって、民法880条に規定されています。
 

民法880条(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

 
離婚後に養育費を変更する場合には、まずは協議を行い、その協議が調わない場合には、家庭裁判所の調停又は審判で取り決めることになります。
 
 
[養育費の金額の変更が認められる場合]
 
養育費の金額の変更が認められるのは、
離婚当時に予測し得なかった個人的、
社会的事情の変更が生じたと認められる場合
となります。
 
 
離婚時に予測し得なかった個人的・社会的事情の変更とは、
父母の勤務する会社の倒産による失業親や子の病気怪我による長期入院
物価の急激的な上昇物価変動や貨幣価値の変動が考えられます。
 
 
さらに、養育費の増額が認められるには、
上記の事情に加えて、養育費の支払義務者において、
増額に応じられるだけの経済的余力がないと認められません。
 

(審判例)
離婚調停時よりも父の収入が著しく減少し、更に再婚もしており、再婚後の家庭の生活費も確保しなければならない等、生活状況が大きく変化したことが明らかであるとして、父の養育費を減額変更しています。(山口家審平4.12.16)

 
 
[再婚した場合はどうなるのか?]

養育費の支払義務者や権利者が結婚した場合、養育費の支払いはどうなるのでしょう。

①支払う側が再婚した場合

離婚したとしても、親子間の関係は変わりませんので、養育費の支払い義務は残ります。
 
 
しかし、再婚するとなれば、新しい家族との間の生活費を負担しなければなりません。
上記の審判例にもありますが、離婚時に協議で養育費の金額を決めており、
その後に再婚したのであれば、民法880条の事情変更に該当しますから、
養育費の金額の変更は可能だと考えられます。
 
 
まずは父母間で再度の協議を行い、
協議で調わない場合には、家庭裁判所の調停又は審判を申し立て、
家庭裁判所が事情の変更があり、
養育費の金額を変更するのが相当と認めれば変更されることになるでしょう。
 
 
但し、離婚時の協議の時点で、
新しい相手がおり、短い期間で再婚するようなケースでは、
離婚時に予測し得なかった個人的事情とは認められず、
養育費の変更は認められないものと思います。
 
 
②受け取る側が再婚する場合

この場合は、再婚相手と子供が養子縁組をするかしないかで事情は変わります。

養子縁組をした場合には、子供は再婚相手の嫡出子の身分を取得し、
再婚相手にも子供に対する生活保持義務が生じます
また、子供が権利者の再婚相手と養子縁組をしたとしても、
実の父親であることに変わりありませんから、生活保持義務は残ります。
ここで、子供は2人の父親から扶養されていることになるのですが、
この場合、養親と実親では、養親の方が扶養義務の優先順位が高いとされているのです。
 
 
よって、養親が十分な資力がある場合には、
実親が支払う養育費は免除又は減額できる可能性があります

但し、実親の義務が当然になくなるものではありませんので、
まずは、権利者と協議し、協議が調わなければ家庭裁判所で取り決めることになります。
 
 
養子縁組をしていない場合は、実親がこれまで通り第一次的な扶養義務を負います
しかし、この場合でも、再婚相手が子供の養育費を含め、
新しい家族の生活費全般を負担している実態があるのであれば、
養育費を取り決めた離婚時に予測し得なかった事情の変更があるとして、
養育費の減額請求が認められる可能性はあります。
 
 

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