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養育費の支払いと期限の利益喪失条項

仕事柄、他の専門家が関与して作成された公正証書を拝見することが多いのですが、
養育費について次のような「期限の利益喪失条項」を
設けている公正証書をたまに見かけます。



「第○条 甲は、乙に対し、長男○○の養育費として、平成○○年○月から長男○○が
 20歳に達する日の属する月までの間、毎月金○万円を毎月末日限り、乙名義の金融
 機関口座(○○銀行 ○○支店 普通口座 ○○○○○○○○)に振り込んで支払う。
 振込に要する費用は甲の負担とする。


 2 甲が、前項の月額養育費の支払いを○回分計○万円以上遅滞した場合、乙の通知催
 告なしに当然に期限の利益を失い、乙に対して遅滞額及び未払い月分の養育費を直ちに
 一括して支払う。」



期限の利益喪失条項とは、ある一定条件のもと分割払いの利益を失わせて、
残金を一括払いで支払う旨を合意することをいいます。
慰謝料や金銭支払いの財産分与など、
一度に支払うことが難しい場合に分割払いを認める代わりに設ける条項ですが、
養育費の支払いについても設けることができるのかについては
上記のような内容の場合には問題があります



離婚の際に公正証書で合意した養育費の減額を求めた事案において、
次のような審判例があります。


東京家庭裁判所平成18年6月29日
「公正証書において,定められた月額養育費の支払いを2か月分以上遅滞したときは,
 その遅滞額及び将来にわたる未払月額養育費の合計額を一括して支払う旨の期限の
 利益喪失約定
が定められているが,養育費は,その定期金としての本質上,毎月ご
 とに具体的な養育費支払請求権が発生する
ものであって,上記期限の利益喪失約定
 に親しまない性質
のものであるとともに,養育費の定期金としての本質から生じる事情
 変更による減額変更が,上記期限の利益喪失約定により許されなくなる理由もない」

養育費の減額は、離婚当時予見し得ない事情の変更が後になって生じ、
当初取り決めた養育費の金額と現在の実情が合わなくなった場合に認められるものです。



上記審判例では、公正証書で期限の利益喪失条項を定めていても、
養育費というものはその時々に発生するものですので、
そのときの父母の収入や生活状況の変化によって
支払義務の程度が変更するもであるから期限の利益喪失条項は養育費にはなじまず、
それにより養育費の減額が認められないものではないとの判断をしたものです。



○離婚時に養育費の総額を定める方法


先に説明した他の専門家の関与した公正証書の内容や審判例は、
養育費を定期金として毎月受け取る方法でした。
この方法は、一般的な養育費の受け取り方ではあります。



ただ、毎月、定期金としてもらう方法では、離婚時に養育費の金額を定めても、
減額調停を起こされて、減額が認められてしまうというリスクがあります。


 

そこで、定期金ではなく養育費の総額を設定して、
それを分割で支払ってもらうという方法を取ることも可能です。
養育費の性質上、家庭裁判所の審判では認められませんが、
離婚協議であれば、双方の合意により取り決めることが可能です。



離婚協議書への記載としては、簡単に書くと次のようになります。
「第○条 甲は、乙に対し、長男○○の平成○○年○月から長男○○が20歳に達する日
 の属する月までの養育費の総額として金○○○万円の支払い義務があることを認め、こ
 れを分割して毎月末日限り、金○万円を乙名義の金融機関口座(○○銀行○○支店普通
 口座 ○○○○○○○○)に振り込んで支払う。振込に要する費用は甲の負担とする。


 2 甲が前項の分割金の支払いを3回分計○○万円以上滞納した場合は、甲は、乙の通
 知催告なく当然に期限の利益を失い、乙に対し、前項の養育費総額から既払金を控除し
 た残額を一括して直ちに支払う。」



定期金として受け取る方法では、
相手の収入の減少や再婚等の事情の変更により
減額調停を起こされ、家庭裁判所で減額が認められる可能性があります。



しかし、この定め方をした場合は、養育費は既に確定した債権となっておりますので、
お金を貸していることと同じような状態となります。



よって、養育費総額を定めた場合には、減額の請求はしにくくなります。
その理由は、減額調停は、
あくまでも将来の養育費負担を変更する効果しかないからです。
一旦、総額を定めて確定すれば、それは過去の債務となっておりますので、
その金額を変更することはできないとの主張ができると考えられるからです。



また、期限の利益喪失条項を定めることで、
期限の利益の喪失により将来の分も含めて一括での請求が可能です。



ただ、総額を定めた場合であっても、
相手方に養育費の減額調停を起こされることはあります。
養育費の総額を定めた場合に、養育費の減額調停や審判を申立てた事例で
最高裁の裁判例は出ていないようですが、
その場合、最終的には家庭裁判所が判断することになります。



少し難しい内容もありますが、
このような方法もあることをご理解頂ければ幸いです。
あくまでも、養育費はお子様の権利ですので、
お子様のことを第一に考え、双方が納得のいく形で養育費の取り決めをして下さい。



ただ、支払を滞らせれば、一括請求をされるということで、
相手に対する心理的圧力は大きいものと思いますので、
相手方と合意できるのであれば、
総額を定める方法も一考に値するのではないかと思います。



書面の内容については、慎重に考える必要がありますので、
できれば、事前に専門家にご相談下さい。



幣事務所では、協議離婚に関する無料メール相談を行っております。
まずは、お気軽にご相談下さい。


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