離婚時に住宅ローンの残っている不動産はどうするのか?
当事務所へのご相談内容の中で特に多いのが、
住宅ローンが残っている不動産の財産分与についてです。
割と婚姻期間の短い20代後半から30代の方からのご相談が多くあります。
今の方々は、結婚してすぐにでも住宅を購入される傾向にありますので、
短い婚姻期間での離婚となると、それほど住宅ローンは減っておらず、
オーバーローンの状態にあるからです(時価よりローン残高が高い状態)。
そして、その後の公正証書の作成にも、特に頭を悩ませるところです。
では、財産分与の方法についてですが、まずは時価を算定し、
その算定額から住宅ローンを控除した金額が財産分与の対象となります。
マイナス、つまりオーバーローンである場合には、
そのマイナス分の負担割合を決めて支払うことが原則となります。
時価の算定方法は、不動産会社に査定してもらうとよいでしょう。
ネットで検索すると、無料で査定してくれる会社がいくつか出てきます。
簡易計算であれば、相続の際に不動産の評価額の算定でよく使用する
路線価や固定資産評価額などにより算定することも可能です。
路線価は時価の8割、固定資産評価額は時価の7割程度といわれていますので、
逆算することにより、おおよその時価を計算することができます。
路線価などによる算定方法は、あくまでも、簡易計算ですので、
実際の価額とはその時の経済情勢などにより変わることもありますが、
どの程度、プラスになるのかそれともマイナスになるのかを
知っておくのにはよい方法だと思います。
さて、算定してみた結果はどうでしたしょうか?
プラスになったのでしょうか?それとも、マイナスになってしまったのでしょうか?
この結果をもとに、離婚協議の中でどのように分け合うのかを話し合うことになります。
| 1.不動産を売却するケース |
算定した結果がプラスとなるのであれば、不動産を売却し、
その売却益から住宅ローンの残債を差し引いた金額を財産分与すればよいでしょう。
例えば、購入金額が3000万円、住宅ローン残が1,200万円、売却価額が1,800万円なら、
売却価額から住宅ローン残を差し引いた600万円が財産分与の対象となります。
しかし、逆に、住宅ローン残より時価が低い評価であれば、オーバーローンとなり、
上記の事例で住宅ローン残と売却価額の金額が逆のケースであれば、
600万円の支払いが残りますので、
その負債を分け合って離婚後に支払うことになるでしょう。
但し、オーバーローンとなる物件を売却するには、
その差額分を売却の時点で支払って抵当権の抹消手続きも必要となります。
よって、それを支払うだけの預貯金が手元にあるか、
もしくは他の金融機関で借りなければなりませんので、
現実問題としては売却するのは難しいと言えるかもしれません。
| 2.不動産・住宅ローンの夫がそのまま住み続ける場合 |
夫が単独名義で住宅ローンを組んでいて、そのまま不動産に夫が住み続ける場合には、
特に不動産に関する手続きは必要ありません。
しかし、例え、夫の名義であったとしても、
その不動産は夫婦の共有財産となり財産分与の対象となりますので、
妻も時価が住宅ローンを上回る場合は、
その上回る部分については財産分与を請求できます。
この場合は、財産分与の一部として金銭で支払ってもらうか、
離婚後に分割で支払ってもらうことになります。
オーバーローンの場合ですが、これも財産分与の対象となります。
しかし、収入の少ない妻が、離婚後に負債を抱えて生活していくのは困難です。
それに加えて、子供を育てていかなくてはならないこともあるでしょう。
ここは、子供の生活のことも考えて、
できるだけ、夫に支払ってもらうように交渉しましょう。
| 3.不動産名義・ローンは夫で不動産に妻が住むケース |
離婚後に、子供の環境を変えることは望ましくないという配慮から、
夫が家を出て行き更に住宅ローンを負担して、無償もしくは有償で
そのまま妻と子供を不動産に住まわせるというケースもあります。
無償の場合は、法律用語では使用貸借(民法第593条)といいまして、
貸主の好意により無償で借り受ける契約のことです。
そして、有償で借り受けることを賃貸借(民法第601条)といいます。
使用貸借と賃貸借の違いは、賃料が発生するのかしないのかの違いだけではなく、
その権利に大きな違いがあります。
このケースでは、少なくとも、
①無償なのか有償なのか(有償の場合は賃料をどうするか)
②有償の場合は、賃料の支払い方法及び遅延損害金をどうするか
③いつまで住むことができるのか(子供が就職するまで、大学卒業までなど)
④固定資産税やマンション管理費などの費用をどちらが負担するのか
⑤退去時の約束事
を取り決めなくてはなりません。
夫婦間の事情により、将来起こりうることを考えると、
もっと細かい内容を取り決める必要があります。
そして、このケースで問題となるのは、
住宅ローンを支払っていくのがそこには住まない夫であるという点です。
というのは、離婚時には納得したにも拘らず、
途中で住宅ローンの支払いを止めてしまう夫もいるからなのです。
住宅ローンの残っている不動産には、金融機関が、支払いが滞った場合に備えて
抵当権を設定しています。
債務者からの支払いが滞ると、
金融機関は、何度かの催促の後、最終的に抵当権を実行し、
不動産を競売にかけて、その売却金額から債権の回収を図ります。
つまり、夫が支払いを止めることにより、
住んでいる不動産は強制的に売却される可能性があるということです。
よって、途中で夫の気が変わらないように配慮することはもちろんのこと、
そのような場合に備えて居住権を確保できるよう
離婚協議書の内容を考える必要があります。
| 4.不動産の所有権を妻に譲渡し、住宅ローンは夫が支払い続けるケース |
財産分与として不動産を妻に譲渡し、
夫が住宅ローンをそのまま支払い続けていくケースです。
このようなケースでは、夫からの慰謝料の代わりであったり、
離婚後の扶養の要素も含まれていると考えられます。
ただ、注意しなければいけないことは、お金を貸している金融機関は、
基本的には、借主が不動産に住み続けていることを前提に貸しているということです。
また、不動産の名義についても、
ローンの支払いが終わるまでの間は認めていない金融機関もありますので、
必ず、事前に金融機関に相談することが必要です。
契約違反として、一括返済を求められることも考えられます。
最近の住宅ローンの契約書では、第3者への名義変更については、
特に定めていないようですので、
支払い完了前に妻への名義変更を認めてくれる金融機関もあります。
しかし、契約書に記載があるかないかに関わらず、金融機関への相談は必要でしょう。
離婚時に名義変更ができない場合には、
ローン完済までかなり先になることが想定されますから、
所有権移転の仮登記をしておかなければなりません。
| 離婚時の住宅ローン付き不動産の財産分与について、一般的な問題を記載しましたが、不動産が絡む問題はこれらのケースでは当てはまらないこともございます。住宅ローン付き不動産の問題は、離婚時の大きな悩みの種となっているようです。 お悩みごとのある方は、ご遠慮なく、当事務所にお問い合わせください。 |





離婚の悩みは人それぞれ異な